2017年9月18日月曜日

青山社中 リーダーシップ・公共政策学校

 青山社中のリーダーシップ・公共政策学校を20173月に修了しました。

 青山社中とは、経産省出身の朝比奈先生が代表をされている会社で、その朝比奈先生をはじめとする講師の方々から政策を学ぶ学校です。半年間の講義で、カリキュラムとしてはリーダーシップ、政治・行政、経済・財政、医療・社会保障、地方自治、ガバメント・リレーションズ、ファンドレイジング、働き方改革等の講座がありました。

 今回の受講を通して、公共分野における課題の理解を深め、今後の日本のあり方を考える上での大局観を養うことができました。少子高齢社会、経済成長、財政の限界、社会保障制度、2025年問題、世代間格差、統治体制などの課題を理解し、それを解決するための打ち手について学ぶことができました。

 また、講師の方々や他の受講生からの学びも非常に有意義でした。講義やその後の懇親会で自由に質問をすることができ、非常に近い距離で議論することができました。

 今年も10月から開校とのことなので、政策や社会課題に興味関心のある方は、ぜひ受講を検討されてみてください!



2015年1月20日火曜日

西洋的価値観と移民 –パリのシャルリ・エブドーについて-

1月7日にパリにある週刊誌「シャルリ・エブド」でテロ襲撃が起こって以来、関連するニュースを追いかけていました。この論点について簡潔にまとめたいと思います。

「表現の自由」はどこまで許容されるのか
 西洋社会においては中世から絶対的権威を持っていた宗教から脱却するために、表現の自由が大きな役割を果たしました。その歴史ゆえ、表現の自由が西洋の基本的価値観であり、今後も宗教・国家権力・暴力から守られるべきという点には賛同します。また風刺画は本来権威に対して挑戦するものであり、人を不快にさせうるものということも同意します。
 ただ、私自身はシャルリ・エブドーの表現にはいささか配慮に欠ける部分があったと思います。なぜならば、フランス社会においてイスラム教の人々は、1) その大多数が普通の市民生活を送っている、2)マイノリティであり、3)経済的社会的に中流もしくは下流の生活を送っています。そうした人々も含めて信仰しているムハンマドを風刺するのは、ペンを向けるべき矛先が違うのではないかと感じます。なぜならジャーナリストを含む知識人とは、サイードが言ったように「城壁の中にいる王のためではなく、外を歩く旅人の側に立ち」、マイノリティを代弁するものだと考えるからです。

移民はアイデンティティをどこにもつのか
 9.11と違い、今回テロを起こしたメンバーの中にはフランスで育った移民2世がいます。彼らは生まれ育ったフランスではなく、イスラムの価値観に自分のアイデンティティを求めました。もともとフランスで育った人がなぜテロを起こしたのか、その理由こそを考察する必要があります。それは上記で述べたような社会的背景が大きな一因を占めているでしょう。

日本は移民を包摂できるのか
 フランスやイギリスにおいて、移民は人口の約10%を占めます。それに対して日本は2%弱にとどまっています。しかし今後20~30年のスパンでは少子高齢社会による労働力不足のため、受け入れ拡大を検討する必要があります。今後日本も現状の移民政策を見直し、各国の現状に学びながら移民政策を変化させていく必要があります。

イスラムブックガイド
私が「イスラム」を理解する際に参考になった本を紹介します。
・『池上彰が読む「イスラム」世界』池上彰 
池上さんによる非常に要を得てわかりやすいイスラム入門書です。

・『ヨーロッパとイスラム 共生は可能か』内藤正典 
ドイツ、オランダ、フランスにおけるイスラム移民の生活の実態が紹介されています。

・『<中東>の考え方』酒井啓子 
中東全体の見取り図を持つために歴史を含めて中東とはなにかが整理されています。

・『イスラーム文化』井筒俊彦 
腰を据えてイスラム文化を学びたい人に。日本のイスラム研究者の第一人者です。

・『批判的想像力のために 現代日本における移民と市民権』テッサ・モーリス・スズキ
短い論考ですが、日本の移民政策の背景と、今後への示唆に富む文章です。

2014年11月8日土曜日

日本版シティマネージャー

  藤沢烈さんのBlogでも紹介されていましたが、1031日に石破茂地方創生大臣が日本版シティマネージャー制度を発表しました。これは受け入れを希望する自治体に国家公務員や民間から人材を募り副市長や幹部職員として派遣する制度です。こうした取り組みは東北で活躍する副市長の方々の事例から着想されたとのことです。主な役割は内閣官房の市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定、実行となるそうです。これは民間からも人材を募る非常に意欲的な取り組みだと思い、機会があれば自分も挑戦したいと思いました。
  
今回の政策立案に際して、内閣官房地域創生本部は自立性、将来性、地域性、直接性、結果重視の5つの原則を定めています。特に直接性、結果重視に関しては、より一層官民連携を促進することが必要となります。武雄市の図書館や、PFI (Private Finance Initiative)方式を導入した山口県の刑務所の事例もあるように、民間の成果重視の姿勢や知識経験を生かして頂きたいです。

  また民間からも公募するということで、政府機関以外から着任し地方自治体業務に携わる人が増えるのは非常に良いことだと思います。近年「民間、公共、社会、三つのセクターの垣根を超えて活躍、恊働する」力を備えているトライセクターリーダーという人材像が取り上げられています。(Harvard Business Review, February 2014) セクターを超えた経験を持つ人が増えれば、官・民・市の連携が進み、より住みやすいまちづくりができるでしょう。

 日本版シティマネージャー派遣制度

派遣人材の募集について

派遣希望市町村

まち・ひと・しごと創生法案の概要

まち・ひと・しごと創生本部

2014年9月28日日曜日

「Infinity of flowers」-ショッピングとアート-

 新宿GUCCIで展示されていたチームラボの「Infinity of flowers」を見てきました。

 壁一面に花が現れて、手を触れるとその花の絵が手の動きに沿って変化するというCG動画です。自分が触れた花びらが散って無くなり、またそこに花が咲く流れは、あたかも四季の自然の営みの時間を倍速で見ている様でした。こうしたインタラクティブな観客参加型のアートは、自分もそのアート作り手の一人になったように感じました

 展示はGUCCI3階で行われていました。お店にとっても普段訪れない人もこれを目当てに訪れるので、ビジネス上のメリットもあるのでしょう。


 ショッピングに文化やアートを取り入れることで普段と違う体験が出来るのは実利と感動を両立できる点で魅力的なアプローチでした。こうした取り組みが増えると良いと思いました。


2013年11月24日日曜日

オペラ、キュレーター、アートプロジェクト


■オペラ ヴェルディ『リゴレット』
 新国立劇場でヴェルディ『リゴレット』を観てきました。あらすじはこちら
 新制作とのことで、演出も話の筋がわかりやすくなっていました。リゴレットのまな娘を想う気持ちや、ジルダの純粋さ、マントヴァ公爵の好色っぷりがうまく際立っていました。ジルダ役のエレナ・ゴルシュノヴァが演技歌唱力ともに素晴らしかったです。
 リゴレットもジルダも哀れですが、そもそもはリゴレットが、娘をたぶらかされたと怒るモンテローネ伯爵を笑い者にし、伯爵がリゴレットを呪ったところからこの物語は始まります。人にしたことは自分に返ってくるという教訓ともとれます。
 「すでにひどい目にあわされている上に、さらに苦杯をなめさせられたと思わせないように、不幸な目にあった人間を軽々しく取り扱わないことが肝要である。ひどい辱めを受けた人間は、どのような危険や格別の危害を被ることも覚悟の上で、復讐を果たさずにはおかないものだからである」ニッコロ・マキァヴェッリ,『ディスコルシ』, p.431.

■文化の力・東京会議2013

 もともとはクリエイティブ・エコノミーの話を期待して参加したのですが、岩井克人教授による「信任論」が興味深い話でした。簡潔に述べると、これまでの資本主義は対等な個人/法人による契約を基盤とした契約社会であった。しかしこれからは医者と患者のように対象に対しての知識レベルが異なることを前提とした信任社会となる。それは高度専門化社会に必然の出来事であり、そうした専門家には倫理性が求められる。この倫理性の回復こそが重要なテーマとなる、というお話でした。





■キュレーター長谷川京子
 会社の友人に薦められて東京都現代美術館チーフ・キュレーターの長谷川京子さんの「キュレーション 知と感性を揺さぶる力」「なぜから始める現代アート」を読みました。展覧会の開かれる国の文化芸術史を理解した上で適切なコンテクストで作品を解釈するキュレーターという仕事や、草間さん、マイケル・リン、バーニー等トップアーティストとの関わりの話が新鮮で面白かったです。



■全国アートNPOフォーラムとアサヒ・アート・フェスティバル
 
 全国のアートNPOによる活動を紹介しこれからのアートによる地域再生について議論する全国アートNPOフォーラムとアサヒ・アート・フェスティバルに参加しました。印象的だったのは、子供、障がいを持つ方や外国人など社会の周辺と見なされがちな人々を巻き込んでいく試み、震災以後食事や電気への関わり方を見直す取り組みや、廃墟や墓などの見過ごされてきた場所の価値を再発見する人々でした。