2013年8月17日土曜日

文化政策/アートマネジメントブックガイド

  文化政策とアートマネジメントについて昨年末から関心があり勉強しています。備忘録として参考になった本のリストを書き留めました。

<概説書>
・根木昭.『文化政策学入門』.水曜社, (2010) 【4.0】
いくつかある概説書の中でも最近出版された良書です。日本政府、おもに文化庁を中心とした政策方針の変遷をたどっています。関連する法律も参考資料として記述されているので、政策の成り立ちから理解することができます。


・小林真里他.『アーツ・マネジメント概論 三訂版』.水曜社, (2009) 【4.0】
同じく水曜社から出ているアートマネジメント概論です。第二部の実践編では、ホールや図書館、地域文化資源の運営まで記述されています。

・小林進.『コミュニティ・アートマネジメント いかに地域文化を創造するか』.中央法規出版, (1998)  【3.8】
・後藤和子.『文化政策学』 【3.8】

<古典>
・ボウモル、ボウエン.『舞台芸術 芸術と経済のジレンマ』 【4.0】
どの分野にもそれを読まずして語れない古典がありますが、文化政策/経済学の分野においてはこの本になります。1960年代のアメリカにおける舞台芸術(バレエ、クラシック、演劇等)が経済的な問題を抱える構造を解き明かし、だからこそ公共の支援が必要となるという論を展開しています。


<アートとまちづくり>
・吉本光宏監修.『アート戦略都市 EU・日本のクリエイティブシティ』.鹿島出版会, (2006)  【4.0】
アートを用いて街を活性化させる、クリエイティブシティという概念の事例を紹介しています。“クリエイティブシティ実現のために重要なのが次の3点である。すなわち、都市の財産が最大限に活用されること、集積効果によって、強い発信力と集客力を生み出すこと、そして子供を巻き込んでいくことである。また、都市のビジョンを持った上で、地域活性化の手段の中でも、なぜアートなのかの問いに対して行政や企業、NPOを含む関係者が真摯に答えていくことが求められる。”

・織田直文.『文化政策と臨地まちづくり』.水曜社, (2009)  【4.0】
関西地域を中心とした事例も紹介されています。
・藤浩志、AAFネットワーク.『地域を変えるソフトパワー』.青幻舎, (2012)  【4.0】
シャッター街や離島のまちおこし、多様性を受け入れるまちづくり、人をつなぐしくみづくりをアートを媒介として行い、地域が持つソフトパワーを見つけだすという事例集です。

<アートと経営>
・山田真一.『アーツ・マーケティング入門』.水曜社, (2008)  【4.0】
文化ホールやオーケストラ、文化財団のマーケティング観点からの運営方法について述べています。ビジネスで日々学んでいる考え方を文化やアートの分野に応用する余地は大いにあるなと感じました。

・垣内恵美子.『チケットを売り切る劇場 兵庫県立芸術文化センターの軌跡』.水曜社, (2012)  【4.0】
ゼネラルマネージャーの話が勉強になります。

<芸術と公共哲学>
・宮本久雄・金泰昌編.『公共哲学15 文化と芸能から考える公共性』. 東京大学出版会, (2004) 【4.0】
公共性を「滅私奉公」ではなく、個が私を生かして公を開く「活私開公」という見方で捉えるという試みの下に開かれたシリーズの一作です。映画や演劇、文学における公共性とはなにかを論じています。

・平田オリザ.『芸術立国論』.集英社, (2001) 【3.8】

<文化の価値>
・ディヴィッド・スロスビー.『文化経済学入門 創造性の探求から都市再生まで』.日本経済新聞社, (2002)  【3.5】
・垣内恵美子編著.『文化財の価値を評価する 景観・観光・まちづくり』.水曜社, (2011)  【4.0】
文化財の価値を評価することは、政策立案や予算配分を適切に配分するために今後より広く行われる必要があります。同書で文化財の価値を直接的利用価値と間接的利用価値に分け、より具体的にオプション価値や存在価値、遺贈価値と捉えていたのはとても参考になりました。


<文化と復興>
ニッセイ基礎研究所.『文化からの復興 いわきアリオス』.水曜社, (2012)  【3.8】

<クリエイティブクラス論>
リチャード・フロリダ.『クリエイティブ資本論 新たな経済階級の台頭』, (2008)  【3.5】
都市の自由度、魅力がクリエイティブクラスを惹きつけるために重要になるという論です。


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