2010年5月4日火曜日

北辰一刀流剣術と日本のオリジナリティ

 去年の秋に、北辰一刀流剣術に入門しました。
 きっかけは、夏に行ったインドで現地の宗教や洋服、音楽に触れたことです。それらを見ている内に、自分は日本人なのに日本の文化を何も知らないということがとても恥ずかしくなりました。そこで、何か一つ日本文化を体得しようと決めました。日本男児といったら、やはり「サムライ」だろうと古流剣術を始めました。この北辰一刀流は幕末に千葉周作が開いた流派で、組太刀、竹刀剣術、抜刀術等を行います。江戸三大流派の一つにも数えられ、坂本龍馬も門下生でした。
 
 今は週3のペースで稽古に通っています。最初は体作りのため、ひたすら素振りをしていました。1日500本とか800本振ると次の日筋肉痛で体中がみしみしいいます。けれど、段が上の方々は1000本振ってもケロっとしているので、自分もそれくらい鍛えたいところです。先月には、始めて5カ月目で初段を頂くことができました。最初は日本文化の体得、心身の鍛練などのために通っていました。それから稽古を積んでいくほどに、技の奥深さがわかるようになってきました。今後何年かけてでも、この剣の道を突き詰めてみたいと思っています。将来海外に行ったときに、他国の人々の前で、紋付袴を着て剣術演武を出来たらカッコいいなとも思っています。

 さて、先日3日には剣技演武の奉納を、杉並の大宮八幡宮で行いました。朝8時に神社に着き、境内の中で春の清涼な空気を吸い、木々の下で鳥居を横目に見ながら素振りをしていると、とても爽やかな気分になります。9:30から御社殿の中に座って、神主さんの作法を間近で見ながら参拝を済ませました。子供の頃はわけもわからずに手を合わせていました。が、大人になって改めて考えてみると、神社という場で成立しているこうした世界観は非常に魅力的だと思いました。境内の鳥居や社殿の造り、神道の世界観は世界中探しても他にない、日本のオリジナルです。

 オリジナリティとは、何もない空中からつかみ取る様なものではないと思います。そうではなく、例えば日本人なら、自分の身の回りの日本的なものを自分で体験し、理解する作業がまず前提として必要だと思います。そうした文化や歴史の継承という過程を経て、初めて真に自分のオリジナリティが出せるのだと感じました。