2011年8月13日土曜日

問題意識・器・役割、支援の在り方

■問題意識、器、役割
 6月からのボランティア活動を通して、一つ感じたことがある。ある時住民の方が困り果てた表情で事務局にいらっしゃった。詳細は割愛するが、その方はある困りごとを抱えていた。その困りごとをボランティア団体に相談しても活動内容と違うためできませんと言われ、行政に相談してもそれは管轄外だと言われ、地元企業でもわざわざ動くほどでないと言われ撥ねつけられていた。その困りごとによって近隣住民からも苦情が出ていたが、ご自分ではその問題を解決することはできない。その話を聞いていて、やるせない気持ちになった。目の前に困っている人がいるならば手を貸せばいい話だ。自分は、声なき者たちの側に立ちたい。NPOも、行政も、企業も拾えないところを拾う人間になりたい。

 7月に他地域で活動しているつなプロメンバー合同での合宿があった。そこでの活動振り返りで、今後心に留めておこうと思った点が2つある。
Ⅰ 真摯さ、誠実さ
・まず自分の行いを正す。人のことを考える前にまず我が身を振り返る。
・自分がわかっていない言葉を使わない。現実的に思考しろ。
Ⅱ ザッへ(職)に仕える
・自分に与えられた役割を果たすこと。
・正しい情報を伝えること。自分のバイアスをかけない。

 現状の自分は、効率的に作業を回すことはある程度はできる。けれど今自分に与えられている役割は、これまでの自分にできたことを超えていて、かなりストレッチされている。一つの組織を運営するのは経験があるが、組織と組織の間に立ってコーディネートするのは始めてだった。何度か組織と組織の論理、利害関係者同士の争いに振り回される状況があった。しかしそれは自分の器がまだまだ小さいから。今の自分の視点は、せいぜい一つの業務、仕事、イベントをどう切るかというレベル。人々、組織、社会の構造をどう動かすかというレベルには到底程遠い。広い視野を持ち、複数の組織を巻き込んで納得してもらうだけの器の大きい人間にならないといけないことを強く実感した。

 これまでの2ヶ月で、矛盾や理不尽なこと、納得がいかないこともあった。今の自分は非力で、悔しい思いをすることもあった。自分独自の組織と資金があればと何度も思った。10年後には自分の力を持って勝負したい。

 最後は政治に懸かってくる。これは政治家のみを指すのではなく、広い意味での「政治」だ。住民、民間、行政、NPO・NGO、異なる組織の論理をどうすり合わせ、橋渡しするか。家がある人、無くなった人、生活の糧がある人、ない人、家族がいる人、いない人、社交的な人、内向的な人、様々な事情を持つ人々をいかに理解し、気持ちを汲み取ることができるか。そうした多種多様な人の感情を自分に引きつけること。それらを全て背負った上で、現在世代の生活を向上させ、将来世代の進む道を開くこと。その未来のために一人ひとりの意思と力をどれだけ結集させられるか。緊急時だけではなく、平時の時に傘をつくる人間がどれだけいるのか。喉元過ぎれば熱さを忘れるのではなく、長期的な視点で社会を構築できる人が社会の要となる。そのためには力も、技も、判断力も必要となる。だがなによりビジョン、情熱が不可欠だ。異なる価値観を持つ人間同士が共通の利益を見いだせるような全体の絵を描き、実行すること。それを誰かがやるしかない。そうでなければ、ただずるずると時が過ぎ、状況が悪化していくことを指を咥えて見ていることになる。


 今回の活動では、本当にいろいろな人にお世話になった。つなプロやETICの人たちから様々なことを勉強させてもらっているし、何より気仙沼、大島の方々から沢山学ばさせてもらっている。朝6時から夜24時過ぎまで活動して、土日も無く働いている。こういうふうに生活すべて注いでいるのはOVAL以来かもしれない。それだけ貴重な経験をさせてもらっているので、その恩をいつか返したい。

■支援の在り方
 これまで約3ヶ月支援活動をしてきた。けれど極論してしまえば、自分たちの支援の内容自体は重要ではない。被災地支援におけるゴールは何か。これからも産業復興への道のりは長く、過疎化、新たな災害などの試練は起こりうる。その試練に立ち向かい、乗り越える、そうした精神力を持った人が出ること。そうした強いコミュニティが残ることがゴールであると考えている。

 今後も、震災復旧、復興のためには人も資金も、エネルギーも必要となる。自分がボランティア受け入れ側として、支援する側の姿勢として大事だと感じたのは次の7点だった。

1.組織のミッションを定めること
2.何が出来るかを明確にすること
3.自己責任で準備し、行動すること
4.地元住民を尊重すること
5.コミュニケーションを積極的にとり、話し合うプロセスを大事にすること
6.継続的な支援を行うこと
7.自分たちのエゴを捨てて、皆が力を合わせること。



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